こんにちわ!サラリーマン簿記講師めたきんです。
今日は簿記3級のわかりづらい論点の1つ、貸倒引当金についてです。
会社を運営する上で、得意先、お客さんからお金をもらわなければいけない、ということは常に考えておかなければいけないことの1つです。
今日はそのお金、売上が回収できなくなるかもしれなくなった時に、どういう処理をすればいいのか、ということについて簿記3級の観点で理解していきましょう!
貸倒引当金とは?
まず、貸倒れ(かしだおれ)とは、得意先から売掛金や受取手形の代金が受け取れなくなってしまうことです。
売掛金や受取手形の代金が受け取れなくなってしまうパターンとしては、
・得意先の倒産
・倒産はしていないけどお金を払えない
などがあります。
こういった貸倒れはビジネス上一定の確率で起こりうると考えられるので、会社は決算時に、将来貸倒れる可能性がある売掛金や受取手形がどのくらいあるかを見積もって準備します。これを勘定科目貸倒引当金として計上します。
引当金とは、今後ほぼ確実に起こるだろうなという事象を事前に見積もっておくことです。売掛金が仮に貸倒れを起こすとその分当期の損失として取り扱う必要があるので、事前に貯金しておくんですね。
具体例で見ていきましょう。
例えば、期末時点で売掛金が10,000円あるとします。その際に、貸倒れが起きる可能性を10%と見積もった場合、持っている売掛金の10%、つまり1,000円を貸倒引当金として計上することになります。※簿記3級の試験の場合●%と指定されます。
貸倒引当金を計上する際の相手科目には、貸倒引当金繰入(費用)を使用します。仕訳のイメージとしては以下です。
貸倒引当金繰入 1,000 | 貸倒引当金 1,000 |
貸倒損失って何?
貸倒引当金は、あくまでも貸倒れる「可能性」があっただけなので、引当金を計上した時点では実際の損失は発生していません。
では、実際に貸倒れが発生してしまった場合の処理を説明します。もし、売掛金、受取手形が本当に貸倒れてしまった場合は、その分の売掛金、受取手形の金額を減らすとともに、決算の時に見積もった貸倒引当金を取り崩す、つまり減らします。
また、貸倒れた金額が、見積もった貸倒引当金を超えてしまった場合は、差額分を計上する必要があります。この時に使う勘定科目が「貸倒損失」です。
貸倒損失は、費用科目になりますので、借方科目になります。
例えば、貸倒引当金を1,000円見積もっていたとして、そのうちの300円が貸倒れた場合は、1,000円から300円を減らし、貸倒引当金を700円に調整するのみで、処理は完了します。事前に貯金しておいたおかげで不必要に費用を計上する必要がなくなるんですね。仕訳でいうと、
貸倒引当金 300 | 売掛金(受取手形) 300 |
です。余裕ですね。
ところが、貸倒引当金を1,000円しか見積もっていなかったのに、実際に発生した貸倒れの金額が1,100円だった場合、貸倒引当金として見積もっていた1,000円全てを減らしても足りないですよね。
なので、差額の100円分を貸倒損失として計上します。貯金を取り崩しても足りない分は仕方なく費用として認識する必要があるんです。
仕訳のイメージとしては以下です。
貸倒引当金 1,000 | 売掛金(受取手形) 1,100 |
貸倒損失 100 |
なお、貸倒引当金は「前期の」売掛金、受取手形に対して貯金したものなので、 「当期の」売掛金、受取手形が貸倒れてしまった場合は、全額を貸倒損失(費用)として計上します。
償却債権取立益って何?
では、回収不可能だと考えて前期以前に、貸倒れとして処理した売掛金、受取手形が当期に回収できた場合の処理について説明します。
このような場合は、勘定科目償却債権取立益(しょうきゃくさいけんとりたてえき)を使います。長い!けど頑張って覚えましょう。
例えば、貸倒引当金のうち、もう回収の見込みがないとして1,000円を減らして処理していたとします。
貸倒引当金繰入 1,000 | 貸倒引当金 1,000 |
そのうち、奇跡的に500円が回収できるようになり、実際に銀行口座に入ってきたとします。その時には、貸倒引当金を戻すのではなく、臨時収入として、償却債権取立益を計上します。仕訳のイメージとしては以下です。
現金 500 | 償却債権取立益 500 |
まとめ
なかなか覚えづらいので、以下の流れで覚えましょう。
期末の売掛金や受取手形に貸倒見積率を乗じて求める | 貸倒引当金(負債) |
当期中で発生した貸倒
(貸倒引当金がある場合) |
まず前期に計上した貸倒引当金(負債)を取り崩して、足りなければ貸倒損失(費用) |
当期中で発生した貸倒
(貸倒引当金がない場合) |
貸倒損失(費用) |
当期中に貸倒処理したのに偶然戻ってきた場合 | 償却債権取立益(収益) |
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